チェーンビューイングが生みだした「逃げ恥」ヒットのメカニズム


近年のテレビドラマにおいて

「逃げ恥」の成功は、

ヒットメイクという観点から、

決して見逃してはならない材料を

残してくれました。

 

 

私自身「逃げ恥」のことがネットで

話題を集めだした時、

まだドラマは観ていませんでした。

 

 

「恋ダンス」を知るより、

普通にJ−WAVEで星野 源さんの「恋」を

聴いていました。

 

 

星野さんらしいメロディーラインだな、

と思って聴いていましたが、

まさかダンスからあんなに火が付くとは

思ってもいませんでした。

(現にミュージックビデオを

 見たことはありませんでした_苦笑!)

 

 

3月22日の「放送記念日」に

NHKで放送された特別番組

「今、テレビはどう見られているか」

で知ったのですが、

 

 

私と同じような人たちが

実に多いそうです。

(因みにこの番組は非常に見応えがあり、

 秀逸でした)

 

 

「逃げ恥」の成功は、

視聴率を見れば一目瞭然です。

 

 

1話目から10.2%→12.1%→12.5%→

13.0%→13.3%→13.6%→13.6%→

16.1%→16.9%→17.1%と、

一度も視聴率を落とすことなく、

ついには最終話で20.8%を突破したのです。

 

 

この成功から置き換えたい材料とは、

視聴者が「逃げ恥」を知ったきっかけ、

〝メカニズム〟です。

 

 

最終話まで観るようになった

多くの視聴者は、初回放送から

観ていた訳ではないのです。

 

 

知人のFacebook投稿や

動画サイトをきっかけに

「逃げ恥」を知り、

 

 

観てみようかな、と思った人が

実に多いということなのです。

 

 

番組の内容である

現代社会を切り取った部分に

共感が集まったことも

ヒットの要因だったでしょう。

 

 

しかしやはり注目したいのは、

ネットの反響をきっかけにして

観るようになった、という顧客動線です。

 

 

その成功の分岐点は、

作り手が敏感にネットの動向を

チェックしていた、ということです。

 

 

番組の中で「逃げ恥」の

那須田 淳プロデューサーが話されていました。

 

 

興味深かったのは、

製作サイドでは番組当初、

主題歌の振り付けを「恋ダンス」として

プロモーションしていくことは

考えていなかったそうなのです。

(気付いていなかった、とでもいうのか)

 

 

第1話が放送された後、

ネット上でダンス動画が

話題になっていたのを見つけ、

 

 

すかさず動画を切り出し編集し、

「恋ダンス」と名付けて

エンドロールで放送し出したそうです。

 

 

その戦略に見事に乗っかり、

FacebookやSNS、

動画サイトの投稿が一気に広まり、

先述の視聴者を取り込んでいったのです。

 

 

ここでいう「動画サイト」とは、

視聴者が勝手にあげてしまった

YouTubeの動画もあるでしょう。

 

 

イマドキは

「公式配信サービス」「見逃し配信」で、

追っかけ視聴が充実しています。

 

 

そうすることで、当初リアルでは

取りこぼしてしまったユーザーも、

FacebookやSNSからの

口コミ(情報)を見て、

 

 

追っかけ追いつかせ、

さらに取り込んでいく

マーケットを作っておくことが

当たり前になってきています。

 

 

何にお客様は興味を示すのか、

何処からその情報を得るのか、

この見極めて重要なツールこそ

「スマホ」なのです。

 

 

テレビの立場はここ2、3年で

明らかに変わってきました。

 

 

それはスマートフォンの普及と共にです。

 

 

テレビを見ているとき、

傍にスマホがあるのは普通の光景です。

 

 

もっと言うなれば、

テレビを観ながらスマホを見ているのか、

スマホを見ながらテレビを観ているのか、

 

 

どっちがメインなのか

分からなくなっているときがあります_苦笑!

 

 

完全に〝チェーンビューイング〟に

なっているのです。

 

 

近年、

このチェーンビューイングを抜きにして、

ヒットメイクは考えられなく

なっているのです。

 

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